溺甘プレジデント~一途な社長の強引プロポーズ~
――51階。
クローゼットの奥にあった重厚な木目調のドアと数歩ぶんの通路。
その先に隠されていたエレベーター以外ではたどり着けないこの空間と、さらに上階の52階にあたるフロアが葛城社長の自宅だと言われた。
外観からは望めなかったこの場所で生活をしているなんて思いもしなかったし、目の前に広がる豪華さに息をのむ。
一流ホテルのスイートルームのような広いリビングに、黒基調のローテーブルやソファ。天井も高く、開放感がある。
夜景がいつでも見れるなんて贅沢すぎると思うのに、インテリアも嫌みがなく、スタイリッシュで彼に似合っている。
「そういえば、車通勤をされてるって聞いたことがあるんですけど」
「1度出かけてジムで汗を流して、朝食を取ってから仕事してるから、誰かが見たのかもしれないね。……家の場所、絶対に秘密にしてよ?万が一のために、家族と秘書以外は知らないんだから」
「どうして隠してるんですか?」
「知られたくないから」
社長はアイランドキッチンの片隅に設けられたビールサーバーに手を掛け、長細いグラスに注ぎ始めた。
床から天井まで、大きなガラスで封じられた特別な空間に2人きり。
彼のプライベートを見せられて、ソファに腰掛けても落ち着かない。