溺甘プレジデント~一途な社長の強引プロポーズ~


「乾杯」


 躊躇なく隣に座ってきた彼とグラスを合わせ、きめ細かに泡立った琥珀を流し込む。



「千夏ちゃん」

「はい」

「今日はいつにもまして無口だね。俺、なんか不味いこと言った?」


 いつもの塩対応と思われてしまうのか……。愛想の無さは恋愛に向かないと思い知らされてばかりだな。



「社長は何も悪くなくて……ただ、緊張しちゃってて、ずっと」

「今さらじゃない?俺と知り合って何年経ってると思ってるの?」

「それは、入社する前の説明会から数えさせていただいたら、片手は余裕で埋まる年数ですけど」

「だけど、未だに俺には慣れない?」

「慣れないといいますか、何と言いますか……」


 社長と広報部の社員として接するぶんには、仕事という建前があるから何てことなかった。

 私に好意を寄せてくれていたと知るまでは。
 知ってからはどうするのが正解なのか模索して、それまでと変わらない距離感でいようと決めたのに、あの日……。


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