溺甘プレジデント~一途な社長の強引プロポーズ~
「私も……っ」
突然抱き寄せられて飛び込んだ彼の腕の中、大好きな香りが心に浸みていく。
ずっと燻り続けていた蕾がようやく花開いて、ふっと軽くなったようだ。
「その先は、言わなくていい。っていうか、今夜はまだ言わないで」
「どうして?」
「キスだけじゃ、済まなくなりそうだから」
「済むとか済まないとか、そんなこと言われても……」
社長は私の耳元で小さく笑ってから、そっと身体を離し、私の目前で切なく苦しそうな表情を見せた。
「千夏ちゃん、分かってないよね。普段と違う表情ばかり見せられた俺の気持ちが、どれだけ疼いてるか」
両肩をきゅっと握られて、彼の辛抱を初めて察した。
キスの次にある行為を意識させられて、揃いもそろっていい大人なのに、妙に照れが先行してしまう。
「過去の色々を経験してきた、いま目の前にいる千夏ちゃんが欲しくてたまらない。でも、大切にしたい」
熱灯りがちらつく彼の瞳に囚われ、傾きに合わせてまぶたを下ろす。
直前まで見ていた彼の顔と、眼下に広がっていた夜景がまぶしい。