溺甘プレジデント~一途な社長の強引プロポーズ~

 社長室を訪れたのは、フラッグ出版の記者が来た時以来だ。
 それからも会議や社内で葛城社長を見かけることはあったけど、用がなければ話すこともない。



「失礼いたします」

 空き時間に少しだけでいいとアポイントを入れた、ランチ前の14時。


「お疲れさま。フラッグ出版からの記事、転送してくれてありがとう」

「仕事が早くてびっくりしました。今回は最速記録更新していますよ」

「それだけこっちで調整する時間が取れるようにしてくれたんだろうね。この前桃園社長と会った時に千夏ちゃんの対応が良かったからかもしれない。ありがとう」

「そう仰っていただけると、やりがいがあります」

 秘書にやってもらうわけでもなく、社長室の一角に設けられたエスプレッソマシンの前へ歩く社長を眺める。


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