溺甘プレジデント~一途な社長の強引プロポーズ~
「いただいた鳥の置物ですが、今日もそちらに飾られているんですね。私もデスクに置かせていただいております。しかし、今回使う写真に写りこんでいますので、社内でそれなりに噂になると思います」
「いいんじゃない?色気のない会社で働くより、そういうゴシップみたいなのがあったほうが、みんな楽しく働いてくれそうだし」
「私が困るんです」
そりゃあ、社長はいくら何を言われても、面と向かって文句を言う者もいなければ、女子社員は私にも鳥をくれと甘えるために寄って集るくらいだろう。
じゃあ、私は?
社長とそういう関係なんだっていう目で見られて、女子社員からは一気に敵視されるのに?
どうでもいいなんて、絶対に絶対に言わせない。
煮えたぎる不満を隠して、冷静な表情で社長の言葉を待つ。
困ると言ったのに、彼は特に感情が波打った様子もなく、淹れたコーヒーを啜って窓の外を眺めるばかりだ。