溺甘プレジデント~一途な社長の強引プロポーズ~
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「ですから、先程からお話させていただいておりますが、葛城社長さまがお気に召されていたので使わせていただいた次第です」
2月20日。
発売になった掲載誌が手元に届き、すかさずフラッグ出版に連絡を入れた。
記事に問題はない。
見開き1ページを占める大きな写真が、差し替えられることなくそのまま使われているのだ。
「こちらは、葛城の了承の上で差し替えを依頼させていただいたんです」
「そんなに問題がありますか?社長さまがお気に召されていましたし、記事だってご確認いただいて訂正したものを掲載しております」
横野さんの言い分も分からなくはないと思えるのは、写真を変えてほしいと依頼した理由が個人的なものだからだ。
それを知っているのは、葛城社長だけでいい。
仕事に私情を持ち込まないと言っていたのに、ガッツリ持ち込んでいるのは私自身だ。