溺甘プレジデント~一途な社長の強引プロポーズ~

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 滑るようにやってきた黒いスポーツセダン。
 エンブレムは誰もが知る高級外車であることを誇示し、運転席にいる主のステータスを高くする。


「お待たせしました」

 時間どおりにやってきて、下げたウィンドウから顔を出した桃園社長はカジュアルな装いだ。
 助手席のドアを内側から開け、迎え入れてくれた彼の胸元にはサングラスが掛けてあって、イメージは大きく変わらない。


「シートの位置とか、勝手に変えてもらって構わないから楽にしてください」

「ありがとうございます」

 真っ白なシャツの袖が無造作に捲られ、ハンドルを握るその手元には高級腕時計が輝く。



 THE・社長って感じは嫌いじゃない。
 分かりやすくていいと思うからだ。どういうものを好んでいて、興味を持っているのか分析しやすい。


 桃園社長は多少派手なものが好きなのだろう。
 目立ちたがり屋で褒められ慣れているはずだ。だからこそ、服装や見た目に余裕を感じるのかもしれない。


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