溺甘プレジデント~一途な社長の強引プロポーズ~
「葛城の背後に……」
「え、なにちょっとやめてね。季節外れの怖い話とかなら」
思わず、ぷっと吹きだしてしまった。
桃園社長らしくない怖がりな一面を知ってしまったから。
「お化け、苦手ですか?」
「この世にいないものが見えるっていうだけで怖いでしょう?白埜さんは平気なんですか?……って平気なんでしょうね。だからこうやって冷静でいられるんでしょうし」
「お化けは人並みに怖いですよ?」
「お化けなのか人なのか分からない答えですが、そうじゃないってことですよね?」
ええ、もちろんと答えれば、桃園社長は心底ほっとした顔で、ようやく動き出した前の車にゆっくりと着いていく。
「鳥です」
「鳥?空飛んでましたか?」
「いいえ、置物です。葛城の右後方にある飾り棚にいるんですよ、キラキラした鳥が」