溺甘プレジデント~一途な社長の強引プロポーズ~

「今の雑誌っていつ発売?」

「来月20日予定で伺っていますが、何か不都合がございましたか?」


 都内の一等地に構えた自社ビルからは、建ち並ぶ高層ビル群と東京タワー、遠方にスカイツリーが見える。
 彼が大きな椅子に座れば、それを背景にした1枚の絵画のようだ。


「まだ原稿にもなっていない段階ですから、本日中に連絡を入れますので、ご都合の悪い点をお聞かせください。先程の恋人の有無については、カットしていただけるように確認します」

「……写真もたくさん撮ってくれたし、特集5ページって異例だってね」

「そのようですね。芸能人でも3ページだったと思います」

 ため息をついて、椅子に大きくもたれた社長は、くるんと回転して眺望に目を向けた。



「また俺のファンが増えて、広報の仕事が増えたら申し訳ない」

「そうお思いになられるのでしたら、その気もないのにプロポーズをしてからかう悪い趣味をなんとかしていただけないでしょうか」


 冗談を交えてクールに微笑まれても、私には全く響かない。

 1ミリも。1ミクロンも。


「じゃあ、千夏ちゃんが結婚する?俺と」


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