溺甘プレジデント~一途な社長の強引プロポーズ~



 親と将来同居? まったく笑わせてくれるわ、社長ったら。

 結婚相手の親と同居するなんて、余程のことがない限りは“外してほしい条件TOP5”に入るだろう。
 ようやく手に入れた新婚生活に、上手くいってようとなかろうと相手の親がいるのは窮屈極まりないはずだ。それを知っていて、社長はあんなことを言ったってことくらい、長らく広報をやっていればわかること。

 要は、結婚願望なんて皆無だと、彼は言いたいのだ。



「千夏、怖い顔して豚の生姜焼きにかぶりつくのだけはやめな」

「なに?また社長案件?」

「いいじゃん、仕事とはいえあの社長と日々親しく話せるわけでしょ?うちらなんて、理由なくちゃ話しかけただけで周りがうるさいのなんのって」


 ――うるさい。

 視線で同期女子3人を抹殺。

 再びランチに箸を伸ばすも、社長に言われた言葉がやけに喉元で引っかかっている。


 あんなの、ただの悪い趣味なのに。


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