溺甘プレジデント~一途な社長の強引プロポーズ~

―――――
―――




『ゴールデンウィークは、お忙しいですか?』


 桃園社長に連休の予定を聞いておこうと連絡を入れた。
 会えたらいいと思うようになったのは、あれから都合が合わずにひと目も会えていないから。


 つき合っていれば、会いたいと素直に言えるのかもしれないけれど、告白に似た言葉を持たされたままじゃ、どうにもぎこちない。



『お疲れさま。元気にしてますか?連休は海外で仕事があって日本を離れています。会いたいけど、もう少し我慢します』


 会いたいと言われて、背中を駆けあがってくる焦燥感の尻尾をつかまえた。


 返事をしないままでいたら、彼だって他にいい人を見つけてしまうかもしれない。
 こんなふうに、嬉しい言葉を掛けてくれなくなるかもしれない。




 気づけば連絡を待ってしまうようになった私は、桃園社長の特別な人になりたいのだと気づいた。

< 60 / 251 >

この作品をシェア

pagetop