溺甘プレジデント~一途な社長の強引プロポーズ~

 誰に連絡しているのかと、一緒にランチを取っていた乃利子と里美に携帯を覗きこまれそうになって、咄嗟に隠した。


「隠すようなこと?」

「見られたくないでしょ、携帯は誰だって」

「今までは堂々とテーブルに置いてたくせに」


 桃園社長との連絡が密になるようになってから、手放せなくなった。


 どうして気になっているのかなんて言われても、理由は結構ぼんやりしている。

 告白めいた言葉を持たされているから、優位に立っている気がしているのも否定はできない。
 好きと言われて気になりはじめる恋なら、今までに1度は経験したことがある。

 それが間違っているとは思わないけど、相手が相手だけにどうも気が引けてしまうのも事実で……つまりは、今のこの状況を誰にも知られたくないのだ。



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