溺甘プレジデント~一途な社長の強引プロポーズ~
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連休はあっという間に過ぎていった。日の並びが今年は続いていないせいで、例年より短かったからだ。
白埜さんと呼ばれるようになってから、社長はそれを崩すことなく徹底している。
世間話をされたり、私から突然話しかけた時でも抜かりなく。
「ミドリーヌだ!」
男女問わず、社員が押し寄せる社長室。秘書とともに、立入や撮影を制限する警備員までも、碧さんを見れば鼻の下を伸ばす始末だ。
「本日はどうぞよろしく」
「はい。こちらこそ」
同行した桃園社長と久しぶりに会って、私はそれどころではない。
表面的には平静を装うけれど、心の恋の部屋がギューッと抱きしめられているみたいで嬉しい。
「白埜さん、ちょっといい?」
葛城社長に呼ばれて向かうと、碧さんのいい香りが伝わってきた。
だけど、これぞ女子という生きものだと体現している彼女に見惚れることはない。