溺甘プレジデント~一途な社長の強引プロポーズ~
午後は何かと忙しい。
午前中よりも慌ただしく思うのは、時間の進みが早く感じるからか、ランチ戻りで要件がたまっているからか。
「白埜さん、外線です。フラッグ出版さんから」
「ありがとうございます」
午前中の取材の件かと、保留中の外線を選ぶ。
「白埜です。お世話になっております」
「フラッグ出版の桃園です。本日は貴重なお時間をありがとうございました」
――桃園?
って、今日の記者は確か……横野さんだったはずだ。社長に興味津々の同世代と思しき婚活女子。
「こちらこそ、弊社の宣伝にページを最大限設けていただけるとのことでしたので、葛城もお礼を申しておりました」
心の声は一旦しまって、社会人鉄板の対応を返す。