溺甘プレジデント~一途な社長の強引プロポーズ~
『お疲れさま。今日、食事でもどうですか?』
こんなことがあったときだからこそ会いたいと思っていると、桃園社長から誘いの連絡が入った。
1歩社屋を出たら、また記者がいて撮られるのではないかと周囲を見渡す。社長はともかく、私はごく普通のOLでいたいのに、一体誰がこんな騒ぎを掻きたてたのだろう。
「しかし驚いたよ。まさか葛城社長と千夏さんがスクープされるとはね」
あえて隣の駅前で待ち合わせ、先に到着していた桃園社長の車に乗り込むと、彼から話題に触れてきた。
「実は、その件で社内は1週間前から騒然としていたんです。週刊誌担当の先輩に事実確認までされて、貴重な経験でした。今日、葛城がテレビでコメントしてからは問い合わせの電話も一気に減りましたけど」
「テレビは見てましたよ。葛城社長は実に上手くやりましたね、流石です。威圧的になることなく好感も下げずに真実を語るのは、なかなか難しいんです。大抵、ああいう番組の司会者は意地悪ですから」
「そうしないと面白くないのも分かりますが、今回ほどハラハラして見たことはありません」
彼が運転する高級車が、ライトアップされたレストランの前で停まった。