呆れるほどに不器用な恋を、貴方と。

元々は航大に来た依頼だった。
だけど、航大に今余裕がないことと事務所全員で意見交換していた時の俺の初期案を薫子さんを始めホテルオーラルの支配人の目に留まり、そのまま俺が進めることになった。

メインとして初めての大きな仕事。
やる気もあったし、やれるとも思っていた。

デザインは完璧だった。
薫子さんも認めてくれたし、支配人だって喜んでくれた。
だけど、細やかな仕様を決める段階でプランナーである薫子さんとただのデザイナーの俺とじゃ、おもてなしを前提とした心配りの擦れが出た。

何でもデザイン重視で決める俺の考えでは駄目だと何度も没になっていく俺の案。
悩めば悩むほど迷相して何も思い浮かばなくなった。
そんな時、俺は央に会った。

悩んでた心も、苛ついていた気持ちも、焦って的はずれなデザインをして又落ち込む毎日も、央と朝、会えるだけで頑張る気持ちにさせられた。

話せるようになって、
央が喜んでくれるような、
央が選んでくれるような、

そんな気持ちでデザインを考えるようになって、やっと薫子さんからOKが出たんだ。

それからは遅れた分を取り戻すかのように忙しい毎日で。

それでも、央に似合うだろうと考えて改装したチャペルの仕事は何よりも楽しかった。
いつかここで央と結婚式をあげたいと、そう思いながら。

央が不安になっているなんて思いもせずに、俺は仕事に没頭していたんだ。


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