呆れるほどに不器用な恋を、貴方と。
エスカレーターを上がり、ホテルウエディングのインフォメーションに向かう。
入り口の前に待ち構えている薫子さん。
仕事用ではない俺の従姉妹としてにやにやする顔を隠しもせず俺に手を振ってきた。
「薫子さん、」
声を掛け、今だ不思議そうに目を丸くさせる央の手を引き薫子さんの前で立ち止まる。
「央、こちら俺の従姉妹の薫子さん」
只でさえ丸くなっていた目を更に見開かれその目が不安に揺れる。
「は、初めまして三田村央と申します」
声ははっきりと、体は直角以上に折れ曲がるほど頭を下げて挨拶をする央。
思わずクスリと笑みを浮かべてしまうも、頭をあげた央のまだ不安げな表情で目を伏せている。
…………あっ!
そうだ。
そうだよな。
「薫子さん、俺の……彼女」
央の腰に手を添えて改めて紹介した。
弾けたように視線をあげて顔を見合わせた。息をのみ、ふわり、と嬉しそうに央は笑った。
いくら気持ちを通わせたとはいえ央に付けてしまった傷は深い。
本当にごめん。
「初めまして。雄大の従姉妹に当たります園田 薫子(そのだかおるこ)と申します。本日は宜しくお願いします」
にこやかに笑う薫子さんに央の顔がほんのり赤くなる。白い肌に染まる頬が可愛くて薫子さんの前だと言うのに頭を撫でてしまう。
あ、しまった。
からかうような視線を感じて薫子さんから顔を背ける。
コホン、と咳払いをひとつ。
「薫子さん、今日はありがとう。見せて貰ってもいい?」
「ふふふ、今日は午後から模擬があるだけだから今なら大丈夫よ。ゆっくりね」
「ん、ありがとう。央行こうか?」
「え?……う、うん」
気恥ずかしさを誤魔化したまま再び央の手を取り、何も分かっていない央を誘導して薫子さんから離れた。