呆れるほどに不器用な恋を、貴方と。
※ ※ ※
「ね、何でお仕事の事言ってくれなかったの?」
「あーーーー。だってさ、付き合って直ぐに結婚式場の話とか重いだろ?」
「何で?」
「歳も微妙な歳だし、なんか結婚したがってるっぽく思われて引かれたら嫌だなって思ったんだよ」
「えーーー?」
「ちょうどさ、オープンがこの秋だったから付き合ってちょうど1年半くらいたつじゃん。だからその時にサプライズ出来るように考えてたんだよ」
「そしたらその前にフラれるし?」
「ほんとだって。マジでへこんだんだからな」
「あははは、ごめんね」
「いや、俺が悪いんだよ。だけど、もういいこうやって捕まえれたから」
うふふふ。
央が笑う。幸せそうに。
俺達はさっきの余韻を感じながら参列者の席に二人寄り添って座ったまま話していた。
二人の間には重なる手。
もう二度と、この手を離さない。
不器用なまま君と愛を語るんだ、何度でも。
【完】