呆れるほどに不器用な恋を、貴方と。


「ウエディングドレスの花束はカラーで良かったかしら?」






決定事項として告げられたのは雄大のいない、薫子さんと二人で打ち合わせをしていたときだった。

既に決定事項として進められる打ち合わせに目を見開いた。

「あの、なんでカラーなんですか?」

雄大とは特に話し合ったことも、私の夢の話しもしたことはない。
以前雄大から伝えられた誕生花の事を聞いて、逆に夢の話しも諦めようと思ったくらいだ。

今の雄大に不満はない。
きちんと話し合って、愛も確かめあった。
豹変したような雄大との甘い生活に溺れ落とされそうな勢いだ。

だから私の夢の話をしてもきっと雄大は喜んで叶えてくれるだろう。

ただ、あのとき感じた壊れるような胸の痛みの欠片が残っていて。カラーを見るたびにその傷がチクリと疼く。

お互いただすれ違っていただけで、雄大の愛が無かった訳じゃない。
花屋さんから教えてもらったから贈ってくれた。ただ純粋に受け止めればいいものを何をいつまでも私は意地を張っているんだろう。

だけど雄大にどうやって伝えたらいいのか分からない。

何となく、もやもやするんだ。
何となく、嫌なんだ。

大好きな花を、彼氏が贈ってくれた。
でもそれは彼が選んだわけでは無かった。
花屋さんが教えてくれたから。
誕生花だったから。

何となく、大好きな花が色褪せていった。



あんなに好きだったのに。



本当、可愛くないな。
何をいつまでも拗ねてるんだろう。
雄大は何も知らないのに。



大好きな花。
嬉しいのに嬉しくない。
『何となく嫌なの』なんて子供みたい。

薫子さんの台詞に素直に頷けないでいると、不思議に思った薫子さんが首をかしげた。


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