呆れるほどに不器用な恋を、貴方と。


「あ、あのですね?実はバレンタインの日会えたら貰って欲しいなと思ってチョコを用意してたんです。……貰って、…………くれませんか?」


「…………っ、いいの?」


誤魔化しが利かないほど顔が熱くて耳まで赤くなっているのが触らなくても分かってしまう。
こんな顔して義理、だなんて言えないくらい。


「貰って、欲しいんです」

「━━━━━うん。嬉しい」


伸ばした手に持っていたチョコの重みが無くなって、桜木さんが受け取ってくれたと分かった。
弾けたように顔をあげて、思わず見つめた桜木さんが本当に嬉しそうに笑ってくれるから。

今考えても、彼のあの顔は嘘じゃなかったと思ってる。

自惚れでもなんでもなくて。

だって、本当に嬉しそうだったんだから。


そんな顔をして。
期待するな、なんて無理だと思う。

目尻が熱くて、視界がぼやけた。

好き、の感情だけで涙が出るなんて初めてだった。

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