呆れるほどに不器用な恋を、貴方と。
軽く頭を下げて、手でレジを指す。
『ドリンク買ってきます』の意味を込めて。
すると、ハッとした表情を見せた桜木さんは両手でドリンクを掲げた。
2杯も飲むの?
と、一瞬考えて頭を掲げるとククッといつもの堪えたような笑みを浮かべ、おいでおいでと手招きする。
今日はまだ時間もあるし、レジは後でもいいかと先に桜木さんの方へ向かってみた。
昨日の事を思い出して少し恥ずかしい。
嫌でもにやける顔を抑えることが出来ない。
「お、おはようございます」
「うん、おはよう。これ、買っといたから」
「もしかして私のですか?」
「うん、キャラメルマキアートだよね」
「は、はい!」
うわぁ、うわぁ、私が飲んでるいつものを知っていてくれてただけでも嬉しいのに。買っておいてくれるなんて!
なんてスマートな。
「ありがとうございます!へへっ、嬉しい。桜木さん、朝から喉乾いてるのかなって思ってました」
「ははっ、分かってない感じがしたから呼んでみた」
その通りです。
「えっと、朝はごめんね。家にある資料が必要でさ。何も言わずに出ていっちゃって……よく寝てたから、起こすのが忍びなくて」
桜木さんの言葉を反芻して、じわじわ顔中が熱くなるのが分かった。
「えっと……いえ。メモがありましたので、大丈夫です」