呆れるほどに不器用な恋を、貴方と。
そんな時、いつものように彼がふらりとやって来た。
こうして桜木さんが来るようになって半年が過ぎた頃、夜ご飯を食べながら何かを思い出したかのように『あっ、』と声をあげた。
「どうかした?」
「あ、いや。何でもない」
「そう?」
「ああ」
何気ないそんな会話をしたことも、夜眠る頃にはすっかり忘れていたんだ。
「そろそろ寝ようか」
「ん、…………」
「どうかした?」
「あのさ、言ってなかったと思って」
「何を?」
「…………ちゃんと君の事好きだから」
「は?」
「何だよ、は?って」
「え、だって突然……」
「あーーまぁそうだよな。ごめん」
「でも、嬉しい。へへ。あ、あれどうしたんだろ……っ、」
「っ、」
「ご、ごめん嬉しくて」
「……うん、言わなくてごめん」
モヤモヤ思うこともあった。
寂しくて、泣きたいときもあった。
会いたくて、声が聞きたかった。
だけど、彼自ら伝えてくれたその一言が嬉しくて。
気づけば涙が溢れていた。
へへっ、と泣き笑いする私を抱き寄せてその長くてきれいな手で拭ってくれる。
それでも止まらない涙を苦笑しながらペロリと舐めた。
ビックリして止まった涙。
呆然と桜木さんを見つめていると、ククッといつものように笑ってキスをしてくれた。
「央、好きだよ」
甘い言葉を囁きながら。
その日から、桜木さんは私の事を央と呼んで、私は雄大と呼ぶようになった。
彼とのお付き合いにやっと自信が持てるようになったんだ。