呆れるほどに不器用な恋を、貴方と。

ハッ、と意識が浮上したように体に力も戻った。自分を支えるだけの踏ん張りを見せ、彼の手から離れて勢いよく謝った。

「ご、ごごごごごめんなさいっ!本当にすみませんでした!ありがとうございました!!」

やだーーーー。
もぅ、恥ずかしすぎて泣きたい。

「や、いいけど……平気?」

平気、じゃないけども!
恥ずかしすぎるし、申し訳なさすぎる。

「はい!すみませんでした。ありがとうございます」

あぁーーーー。
もう、どうしよう。どうしよう。

「うん。いいから。座ったら?」

少しだけ、クスリと笑い彼は椅子を促してくれた。



その日は、ぺこぺこと謝ることしかできなくて。
ドリンクを飲んでいる間に落ち着いてきた体を奮い立たせてその場で別れた。

名前も年も何も知らなかったけど、私は彼に恋に落ちた。

初めての経験だった。
今までは友達付き合いからの延長で付き合いが始まった。

過去の決して多くない彼氏達も、長い友人関係でお互いのことを知り尽くしてから淡い想いを育てていた。

こんな風に、ドキュンと落ちる気持ちは初めてだった。


< 7 / 134 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop