呆れるほどに不器用な恋を、貴方と。
雄大の腕にしがみつくように顔を埋めた。
ゆっくりと、歩く雄大に合わせて歩き出す。
「央、ここ、このエレベーターで8階まで上がるから。覚えてて」
頭上から聞こえる優しい声に、とりあえず頷く。
今の状態にいっぱいいっぱいで正直何を言われているのか頭に入らない。
ただ、ぼんやりと付いて歩いた。
気付いたらエレベーターを降りて角部屋に向かって歩いていた。
「ここだから。どうぞ、」
ピッ、とカードキーで解除して玄関を開ける。白を基調としたシンプルな玄関から廊下が続いていて、その先にあるのがリビングのようだ。
おずおずと、足を踏み入れるが玄関から中に入ることが出来ない。
あの人の事が気になって、本当にはいっていいのか躊躇してしまう。
事あるごとにあの光景がフラッシュバックする。
その度にじわりと滲む目尻はもう条件反射だ。
先に玄関に上がり、私が動き出すのを辛抱強く待ってくれる雄大も、溢れ落ちそうな涙に気付くと困ったように、優しく頬を撫でてくれた。
「ごめん、こんな風に泣かせたかったわけじゃないんだ。
央には俺の横で笑っていて欲しかったんだ。
だけど俺はやり方を間違えてたみたいだ」
そう、悲しそうに笑うから。
もう1度だけ、信じることにした。
信じてみたいと、思ったんだ。
だってしょうがないくらい好きなんだ。