王子、月が綺麗ですね
その後、応接間でビオラの手入れをしていると祥が話しかけてきた。
「凛音さん、訊ねていいですか? 王子のこと」
「いいよ、祥くん。えっと、敬語もさん付けもいらないからね。わたしたち、旅の楽団ってことで演奏しながら視察をしていくの」
「俺、楽器なんか弾けないけど……口笛なら得意だけど」
「上等。で、何を聞きたいの?」
「王子の足のこと、階段踏み外した……あれ、嘘だろう?」
祥は真っ直ぐな目を向けてくる。
「どうして?」
「俺、観たんだ。寮に戻る時に。王子が試合の後、ふらつきながら足を引き摺って歩いているところ」
ビオラの手入れをしていた手が止まった。
「それに試合後、握手した時、王子の手がすごく熱かった。あの日、王子は体調が悪いのを押して試合をしたんじゃないか。 ずっと気になっていた」
「凛音さん、訊ねていいですか? 王子のこと」
「いいよ、祥くん。えっと、敬語もさん付けもいらないからね。わたしたち、旅の楽団ってことで演奏しながら視察をしていくの」
「俺、楽器なんか弾けないけど……口笛なら得意だけど」
「上等。で、何を聞きたいの?」
「王子の足のこと、階段踏み外した……あれ、嘘だろう?」
祥は真っ直ぐな目を向けてくる。
「どうして?」
「俺、観たんだ。寮に戻る時に。王子が試合の後、ふらつきながら足を引き摺って歩いているところ」
ビオラの手入れをしていた手が止まった。
「それに試合後、握手した時、王子の手がすごく熱かった。あの日、王子は体調が悪いのを押して試合をしたんじゃないか。 ずっと気になっていた」