誤り婚−こんなはずじゃなかった!−
最初は自信に満ちていたシャルも、ここまで反発されるとさすがに面白くなくなり、あいなの手をつかむ力を強めることで気持ちを落ち着けようとしたが、そこであいなが黙っているわけもなく、さらに強い口調でシャルを睨んだ。
「痛!!嫌々つないでるのに痛くしないでよ!」
「どうしてお前はそんなに俺にたてつくんだ?ルイスとは楽しげに話しているクセに。俺はお前の夫になる男だぞ?」
「その上から目線がムカつくの!!そんなんで結婚しようとするのがどうかと思いますけどっ。もう手ェ放してっ」
力づくで振り払おうとするあいなを離すことなく、シャルは早足でロビーを抜けた。二人の様子を遠巻きに見ていたメイド達が、心配そうに顔を見合わせている。
「お前に見せたいものがある」
それだけ告げ、シャルは庭園に出た。
色鮮やかな木々に囲まれた芝生の庭は神秘的で、それゆえ人に怖さを覚えさせる。少し奥へ歩くと、石造りの大きな泉が二人の目に飛び込んできた。