誤り婚−こんなはずじゃなかった!−

 あいなの不満を帳消しにするように爽やかな笑顔でシャルは宣言した。

「俺はお前を、世界一、いや、宇宙一幸せな女にしてやる」

「どうやって?」

「さあな。これから考える。どういった対応策を取るかはシチュエーションにもよるだろうし」

「そんなんで本当にアンタを好きになれるの?私」

「努力はする。何もせずに諦めるというのは性(しょう)に合わないし、結婚して幸せになりたいのは男の俺も同じだ。――まぁ、俺はまともに女と付き合ったことがないから、さっきみたいにお前を怒らせることもあるかもしれないがな」

「女の人の扱い方が分からないって言いたいの?」

「……ああ……」

 バツが悪そうに、シャルはあいなから顔をそむけた。

「そのわりに、『初夜は優しくする』とか、耳がただれそうなキザなセリフ吐いてなかった?」

「それはその……。フェイクだ」

 フェイク。にせ物。模造品。

「どうにかしてお前を安心させたかったんだよっ、悪いかっ!」

「逆に、今スゴイ不安になってきたんだけど……」

 まさかの形勢逆転である。これまではあいなをリード(?)し強気を貫いてきたシャルの弱点が、ついにさらけ出された。

 この時あいなは、初めてシャルに好感を覚えたのである。それまでは何でも余裕でかわすナマイキで調子のイイ軽い男としか思えなかったのだが、シャルも、奥手ゆえに虚勢を張っていただけ……。恋愛経験値数はあいなと変わらないのだった。

(恋に慣れずうまくやれないのは、私だけじゃ、なかった??)
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