本当の君を好きになる
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ガラララ──。
いつものように、教室の扉を開けて中に入る。
先に来ている生徒は、友達と話をしたり、宿題をしたりと様々だ。
自分の席に座ろうとしたその時、私は一瞬固まる。
「……お、おはよう。桐谷くん。」
いつもなら私が席に座って彼の事を迎える筈なのに……。
今日は、早かったんだなー……。
読書をしていた彼は、私の声にすっと顔を上げる。
「あ、おはよう。井上さん。」
そして、いつもの優しい笑顔で微笑む。
私は、荷物を用意しながら緊張をほぐすためにも、自分から彼に話しかける。
「今日は早いんだね。びっくりしちゃった。」
「うん。井上さんと話がしたかったからね。」
「……え?」
思わず、出しかけた教科書をそのままに、桐谷くんの方を見た。
彼は変わらず笑みを浮かべている。
「……でも、俺が話を聞く必要も無さそうだね。何か、スッキリしたっていう顔してるもん。」
「……桐谷くん。」
「やっぱり瀬戸さんはすごいね。」
「……うん。本当にすごい。尊敬するよ。」
「まあ、これで俺もひと安心だよ!」
桐谷くんは、うーんと伸びをすると再び本に手を伸ばす。
「──桐谷くん。」
「ん?」
「私、話があるの。」