今夜、きみを迎えに行く。
一度だけ、仕事で来られない母親の代わりに祖母が小学校の参観日に来てくれたことがある。
若くて綺麗なお母さんばかりの教室に、無理しておしゃれをしたいつもより少し派手な祖母がちょこんといるのはかなり目立つ光景で、まわりの友達はそれを見て、クスクスと笑った。
わたしはそれが恥ずかしくてたまらなくて、参観日のあいだじゅうずっと、真っ赤な顔で怒っていた。
手を挙げて発表することも一度もせずに、振り返ると嬉しそうに手を振る祖母には知らんぷりをした。
家に帰ってから、わたしは泣いた。
美人でスタイルの良い母親が来てくれたなら、わたしはきっと得意気にたくさん手を挙げて発表しただろうし、友達に笑われることもなかった。
「もう参観日には来ないで」
と、わたしは祖母に向かって言った。
祖母は黙って、無理しておしゃれをしたワンピースをいつもの綿の上下と割烹着に着替え、真っ赤な口紅をティッシュで拭き取り、いつものように台所に立った。
そんな祖母の後ろ姿をわたしは、格好悪いと思いながら、友達に笑われたことが悔しくて、泣きながら見ていた。小学校三年生のときだ。