今夜、きみを迎えに行く。
「あんた、優しいひとねえ」
おばあちゃんが、わたしの顔を見ていった。
今日のおばあちゃんは、わたしのことが解らない。こんなに近くで手を握っていても、わたしが孫の葵だとはわからない。
「優しくなんかないよ。おばあちゃん」
おばあちゃんの冷たくて細い手を擦ると、おばあちゃんは安心したように目を閉じて、すやすやと寝息をたて始める。
すっかり眠ってしまうまで、わたしはおばあちゃんの手を握っていた。
両親が家に帰ってきた音が聞こえて、わたしは慌てて二階に上がる。
お風呂でシャワーを浴びて、シュウの優しい顔を思い浮かべながら眠った。