今夜、きみを迎えに行く。
しばらくのあいだ、そうやって祖母のすぐそばで、祖母と一緒に窓の外の星空を眺めていた。
大きな建物の少ないこの街では、よく晴れた日は、夜になると星がよく見える。
「夜の散歩って、おじいちゃんも一緒によくしたよね。わたしがまだ幼稚園とか、小学校のころ。覚えてる?ほら、一度、流れ星が見えたんだけど、おばあちゃんとわたしは見えてたのに、おじいちゃんは違う方向見てて気付かなくて、おじいちゃんがすねちゃって」
心なしか、祖母が少しだけ笑った気がする。
祖父の話をするときはいつも、祖母は幸せそうに笑っていた。祖母は祖父のことが大好きで、幼かったわたしの子ども心にもそれはよくわかった。
だからこそ、祖父が死んだあとの祖母はあんなにも急激に衰えていったのだと思う。
「夜に散歩するの、わたし、けっこう好きだったよ」
おばあちゃんに語りかける。祖母の目はうっすら開いていて、わたしの口元を見ている。聞こえているのかいないのか、それすらもよくわからないけれど、わたしは構わずに話し続けた。
しばらくのあいだそうしていると、祖母の部屋の戸が開いて、母親が祖母の食事を運んで来た。ほとんど自力で噛めない祖母のために、母親が作った赤ちゃんの離乳食みたいなもの。
「葵、こんなとこにいたの。葵も晩ごはん、食べちゃいなさいよ」
「うん、ありがとうお母さん」
自然に出てくるありがとう。これもきっと、シュウのおかげ。