今夜、きみを迎えに行く。
その日の晩ごはんはハンバーグにサラダにスープ。小さい時からわたしの大好きなメニューだった。
昔はほとんど祖母が作ってくれていた晩ごはん。たまの休みの日の夜に、母親が作ってくれたハンバーグが食卓に並ぶと、小さなわたしは嬉しくてたまらなくなって沢山食べた。
祖母の料理はとても上手で、いつも美味しいものばかりだったけれど、幼いわたしにとってはやっぱり母親の作ってくれたハンバーグが、なによりのご馳走だったのだと思う。
変わらないお母さんの味。
「やっぱり美味しい」
食べながら思わず呟くと、母親は照れたように笑った。
「昔はお母さん、それしか作れるものがなかったのよ。料理はおばあちゃんに任せきりだったから、たまに自分が作るものくらい、食べられるもの作らなきゃって必死だった」
お風呂からあがってきた父親が、テーブルにつく。
「いい湯だった。ありがとう、葵」
タオルで頭をごしごしと拭きながら父親が笑う。わたしにだけ向けられた、父親の笑顔。ありがとう、と父親に言われることがこんなにも嬉しいことだなんて、わたしは長いあいだ忘れていたような気がする。