こっち向いて、ダーリン。【改訂版】
別に不満なんてない。でも本物じゃないの。


「…うるっせぇな」

「「「「「──っ」」」」」


……すご。


彼のほんの小さな、聞こえるか聞こえないかくらいの、ほんの小さな一言で、教室内は一瞬にして静まり返る。

クラスメイトは凍り付いたように固まった後、そそくさと席に戻る。

なのに当の本人は気にする素振りも全くなく、机に突っ伏したまま。


──え、今の寝言?

なんて威力。なんて存在感。

わたしは感心するしかなかった。


「……怖すぎ」

「もうほんと怖い」

「同じ教室にいるだけで恐怖」

「あの黒いオーラすら半端ない」

「絶対人殺したことあるよね」


…んなことしてたらここにいるわけないでしょ。

面白いこと言うね、この子達。
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