完璧な彼は、溺愛ダーリン
加藤君は職場仲間。大学生のアルバイトで、夜の時間帯のみシフトに入っている男の子。
サイドを刈り上げて、前髪を立てている。
キリっとした眉と、一重のスッとした瞳。少し怖そうなイメージだけど、実際はとても優しいしテンションも高い。
ジム利用もよくしているらしく、鍛えられた腕が制服の半袖から覗いていた。
何で加藤君なのだろうか。
「こないだ好きな人がいるっての聞いてさ、睦実じゃないかなとかちょっと思ってるんだよね」
栞は腕を組み、首を傾げながらその時の事を思い出している。
そんな栞に私は尋ねた。
「誰かは聞いてないの?」
私の問いに栞は眉根を寄せると、こっちに視線を向けた。
「うん。教えてくれないんだもん。加藤のくせに」
「加藤のくせにって。そんなどっかのキャラみたいな事言わないの」
「加藤めっちゃいい人だよね。でも私はパス。今スパダリに夢中」
「そんななんか、何もしてないのに振られてる加藤君可哀想」
「あはは。だって、そうそうあんな人いないじゃない?」
「まあね」
封筒にチラシを入れる手が止まった。
葛木さんは今まで見た男性の中でもダントツでカッコいいと思う。
そんな人が近くにいたら、仕方ないのかなあとか考えてしまう。
少なからず私だって、ドキッとしたりしている。
栞が好きっぽいから、そういう対象として見ない様にはしているけど。
彼女もどこまで本気かはわからない。
結構あっさり彼氏とか作ってしまいそうな気が……しなくはない。