完璧な彼は、溺愛ダーリン
その背中を擦りながら私は

「……好きにならない方が難しかったよ」

そう独白するように呟いた。


「っ、ふ、うん。うん、すぱだり、カッコいいもん」


鼻をすすりながらそう言う栞。
そう言って私達はお互い顔を見合わせて笑った。


栞は涙でぐちゃぐちゃの顔だったけど、昔と同じ笑顔をしていた。


「仲直り」


小指をぐいっと私の顔の前に出すと、栞は照れたように微笑む。
私はその小指に自分の小指を絡め合わせた。


「もう嘘は吐かないでね」

「うん。約束する」

「絶対に葛木さんと幸せになってね」

「……栞」


どう言ったらいいのかわからず、栞の顔を見上げる。
だけど、栞はとても穏やかに微笑んでいて、私を責める雰囲気はなかった


「たくさんノロケ話聞かせてね」

「……うん。ちゃんと聞いてよ」

「当たり前じゃん。私だってすぐにいい男見つけて、うざいぐらいに話してやるんだから」

「あはは。待ってるね」


奮起する栞を笑いながら見た私は、加藤君っていう素敵な男性が身近にいるよと心の中でだけ呟いた。
これから加藤君自ら行動するだろうから、私は何も言わないでいよう。

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