完璧な彼は、溺愛ダーリン
すぐに到着した私は、息を切らしながら改札の前でキョロキョロと辺りを見渡した。
いるわけなんてない。
今葛木さんがどこにいるかすら聞いていない。
どれだけで着くかも聞いていない。
そんなのわかっている。
でも、いるかもしれないじゃないか。
早鐘みたいに鳴る心臓を抑える様に胸元をぎゅっと握り締めた。
当たり前のように葛木さんの姿は見当たらない。
ずっと手に持っていたケイタイを確認してみるが、まだ通話を終えてから十分しか経っていない。
葛木さん。葛木さん。
せめてどのぐらいで着くのか聞いておけばよかった。
「三石さん!」
え? ……今、呼ばれた?
最初、聞き間違いかと思った。
だって、余りにも早すぎる。
こんなに早いわけがない。
そう思いながらも、喧騒の中声の主を探していると。
「三石さん!!」
再度彼の声が聞こえて、ぐいっと腕を引かれたと思えば葛木さんの腕の中に私はすっぽりと収まっていた。
私服姿の葛木さん。香水をつけているのか、彼の香りに包まれる。
心臓がうるさい。ドキドキとうるさい。
葛木さんも走っていたのだろうか、彼の鼓動が小刻みに鳴り、息も上がっていた。
確かに今、私の背中には葛木さんの腕が回っている。