完璧な彼は、溺愛ダーリン
「さっきはああ言ったけど、君とキスしたいって気持ちも、それ以上をしたいって気持ちもあるんだからね」
「なっ」
「ご飯は何が食べたい? 出前でも取る? 食べに行く? それとも何か作ろうか?」
さっきの話はなかった事になっているらしく、そう尋ねて来る葛木さん。
何もされないと思っていたから、油断していた。このままじゃ心臓がもたない気がする。
「葛木さんが作ってくれるんですか?」
少しだけ不貞腐れながら尋ねると、葛木さんは頷いた。
「今から作るとしたら、パスタかな。それでもいい?」
「はい! 私も手伝います」
キッチンに向かって並んでパスタを作る。
出来上がってから二人で食べている時に、葛木さんが問いかけた。
「明日の仕事は? そういえば聞くの忘れていた」
「明日は休みです」
「それじゃあ、ゆっくり出来るんだ。仕事だったら大変だなって思っていたから」
「大丈夫です。仕事があっても、きっと断りませんでしたから」
「! 君は、まったく……」
やれやれと言った感じで肩を竦める葛木さん。
食べた後はお風呂に入る様に言われ、私は素直に頷いた。
葛木さんの洋服を受け取り、風呂場へと向かう。
浴室も一人暮らしにしては広すぎる。
真っ白いタイル張りで、白と黒のシャンプー入れがきちんと並べて置いてあった。
浴槽も足を伸ばしても余裕があるし。
ちゃぷんと風呂のお湯に足を入れ、顔まで浸してからさっきまでの夢みたいな出来事を思い返していた。