完璧な彼は、溺愛ダーリン
さっきから断り続けているし、バックれようとした事もあって、どうにもダメとは言えず私は頷いた。
それに「よかった」とホッと胸を撫で下ろす葛木さんがいて、胸の中がなんとも言えないモヤモヤでいっぱいになった。
駅までの道を二人で並んで歩く。
私に合わせて歩幅を合わせてくれる葛木さん。
たまに様子を気にして、ちらっとこっちを見る。
「あのさ、三石さんって普段何しているの?」
「普段ですか?」
「うん。趣味とかあるのかなって。やっぱりジム行ったりするの?」
「いや、私はあまり利用しないですね」
「そっかー」
「……」
「……」
会話が途切れて、訪れる沈黙。
少し経ってからまた葛木さんが口を開く。
「あの映画さ、俺実は一回見てるんだよね」
「えっ」
驚いてすぐに葛木さんの顔を見る。
彼は気恥ずかしそうにしながら、ちらりと一度視線をこちらへ寄こした。
「もしもさ、三石さんが来てくれたなら俺、緊張して絶対内容頭の中に入って来ないだろうし。
その後、映画の話したくても出来ないじゃん。映画に誘って、見てなかったなんて言うわけにもいかないし」
「……そ、そうですか」
何でそんな事、普通に言えるんだ。この人は。
こっちが照れて来る。