完璧な彼は、溺愛ダーリン
「てか、何バラしてんだろ。あ~あ、さっきから俺まじでカッコ悪い。
もう緊張してんだって、本当に。今までもっとスマートに対応してた筈なんだけど」
「……私も思ってました」
「だよね?でも、これは三石さんが悪い」
「え、私ですか!?」
「うん、そう。三石さんの所為」
ししっとイタズラが成功した時みたく笑った葛木さんは、一歩前へ出ると振り向いて首を傾げた。
「俺、本気で好きになってもいい?……あ、ごめん。
もう好きだった」
それから、おどけた様子で一度舌をぺろっと出して、すぐに前を向いた。
何それ。何それ。
そんな言い方。反則。
「……ズルいです」
私は彼に聞こえないぐらい小さな声で呟く。
好きになりたくないのに。
スパダリって言われるぐらいなんだ。
葛木さんはもっとスマートで、大人で、恋愛経験豊富だろうから誘うのも余裕なんだって思っていた。
ジムで会った時の印象がまさにそれだった。
私の事を映画に誘った時も、そんな様子これっぽっちもなかった。
だから、こんなに少年っぽく笑ったりとか、緊張したりとかあるんだって思わなかったよ。
てか、誰がこんな葛木さん想像していたの。
加藤君にだって嘘をついて庇われるぐらいには、女の人にだらしないと思われていたのに。
カッコよくて、身長も高くて、爽やかで、大人なのに。
こんなに中身が誠実で、可愛らしい人だなんて嘘みたい。
こっちの方が普段の彼よりも何倍も素敵だ。