完璧な彼は、溺愛ダーリン
「え、何で笑ってるんですか?」
「だって、確かに安くはないけど。目黒って聞いて家賃高そうって」
「そんなに笑う事じゃないですよ! 言われないですか?」
「言われないなあ」
クスクスと笑いながら答える葛木さん。
「やっぱり大手は違うなあ……」
しみじみ私が答えると、
「良物件だと思わない?」
と言って葛木さんが目を細めた。
「!」
「ご想像通りそれなりに稼いでるし、独り身だからね。お望みならどこでも連れて行ってあげる。
三石さんのワガママなら多分、ノーって言えないと思うよ。俺」
「……何ですか、それ」
「可愛すぎて甘やかしたくなるって事」
「はっ!?」
さらっと何て事を言うんだ。
だけど、言った本人は至って真面目みたいで、にっこりと笑ったまま私を見ている。
近いよ、本当に近い。
ドキドキが聞こえないかな。困る。
私、これ以上葛木さんと一緒にいたらダメだ。
早く着いて欲しい。
電車は次で、私の降車駅。
アナウンスが聞こえて、ホッとした。もう少しだ。
その時。