完璧な彼は、溺愛ダーリン
「聞いちゃまずかったですか?」
「あ、いや。ごめん、ちょっと三石さんの方から質問されると思わなくて」
「え?」
「質問って興味がないとしないからなってちょっと考えただけです。
で、答えだけど目黒だよ」
「目黒!? 全然帰る方面と違うじゃないですか」
「そりゃ、どこだろうと送って行くつもりだったからね」
「それに」
そこまで言ってから、私は口を噤む。
目黒って。やっぱり違う。ワンルームだって、家賃高いよ。
「それに、何?」
いやでも距離が近いのに、葛木さんは口を噤んだ私を見て不思議そうに顔を覗き込んで来る。
「な、何でもないです」
「言いかけて辞めるとかナシでしょ」
「……目黒とか、家賃とか高そうだなって」
葛木さんは目を何度も瞬かせてぽつりと「家賃か」と呟く。
それから、顔を背けると肩を震わせ笑っていた。