完璧な彼は、溺愛ダーリン

「勇気出してさ、今度ご飯でもどうですか?って聞いたの!したら、驚いていたけどいいですよって!」

「本当に?」

「本当! 本当に! まさかオッケーしてくれるなんて思ってなくてさ、どうしよう、嬉しい!」

「凄いね、お、おめでとう!」


そう言ったものの、私はうまく笑えていなかった。
栞は興奮からその事に気付いていないっぽいけど。


「勇気出してよかった」


嬉しそうに言う栞。私はそれを見て、なんて自分はバカなんだろうと思った。


葛木さんなら断るんじゃないかって勝手に思っていた。
凄い自分が自惚れていた事に気付いて、勝手に傷付いていて、自分で自分が信じられない。


酷いな、私。栞に葛木さんの事隠しているだけじゃなくて、断られると思っていて見下していた。
知らない内に嫌な女になっていた。最低だ。


葛木さんからは無視すればいいって逃げて。
私って最低過ぎる。


「……栞、本当におめでとう」


これはちゃんと心の底から言えたと思う。……多分。
本当に思ったよ。伝わるといいな。

ごめんね。栞。


「ありがとう、睦実。頑張る」


そうやって笑った栞は本当に可愛いなって思った。
私なんかよりもずっとずっと。
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