完璧な彼は、溺愛ダーリン


翌日出勤した私は、行きの電車の中でずっと望くんとメールのやり取りをしていた。
営業職の彼は外回りが多いから、日中も連絡が取りやすいみたいだ。
もちろん、取引先と会っている間は無理だろうけど。


遅番だから今日の帰宅時間はきっと日付変わる前ぐらい。
昨日は日曜だったから営業時間が短かったんだよね。

その事を伝えたら、彼は驚きながら頑張るね。と、感心していた。
それは望くんも同じだと思うんだけどな。


今日、栞はいない。
だから、もしも今日葛木さんが来たら必然的に私が接客する事になる。


……加藤君、夕方からいるから代わって貰おうかな。


なんて、言えるわけないか。
仕方ない。笑顔。笑顔。そう、笑顔で接客するんだ。


ニッっと笑って笑顔を作っていたら、上村さんに見られていたらしく苦笑いされた。


何事もなく夕方六時になり、加藤君が入って来る。


「おはようございますー」

「おはよう」


加藤君は笑顔の練習をしまくって、ニッコニコしている私に訝しげな顔を見せた。
じーっと私の顔を見ながら一言。


「妙に笑顔が怖いんだけど」

「なっ! 失礼な。スマイル百パーセントでしょ!?」

「……何かあったの?」

「っ!?」


何でわかるの!?
何? 何で?
加藤君は眉間に皺をよせながら、小さく息を吐く。
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