完璧な彼は、溺愛ダーリン

「色々不自然過ぎ」

「そ、そうかな。あはは」


確かに上村さんにも不審がられた。


「嘘つけないよね。三石って」

「え」

「何かありましたって顔に書いてある」

「嘘!?」


慌てて両手で頬をペタペタと触る。と、隣から突っ込みが入った。


「誘導尋問にも簡単に引っ掛かるし」

「……」


しまった。そうか。自ら何かありましたって告白している様なもんか。
てか、さっきから自然にしよう。自然に。と思えば思うほど、自然って何だっけ?ってなって、こんなザマだ。


「俺、知ってるよ」

「え? 何を」

「栞がスパダリに連絡先聞くっての」

「え!?」


淡々とそう言った加藤君は、笑うでも悲しそうな顔をするわけでもない。
至って普通のテンションで、こっちが驚いちゃうよ。


「俺、相談受けてたし」

「相談!? って、え。恋愛の?」


口振りからそれ以外考えられないけど、私は確認をした。
だって、そんなの辛いだけじゃないか。


「そ。元々脈なしなのわかってたし。飲みの席で突然話されてさ。
まあ、うーん。成り行き?」

「成り行きって」


やっぱり加藤君は普通のテンションだ。
どうしてこうも平然としていられるのだろう。
< 69 / 189 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop