結婚したくてなにが悪い?!

由美の電話を終えて暫くすると、大田さんは寝室から出て来た。

「馬鹿! なにやってる!? どけ!」
流しに置いてあった洗い物をしようとしていると、大田さんは私からスポンジを取り上げた。

「ちょっとなに? これくらい大丈夫だって! ビニール袋でこうしてれば濡れないし! 他所動かしたくらいで傷口開かないって!」
「良いから! お前は病院に行く支度しろ!」
「あっさっきも言ったけど、病院はタクシーで行くし、部屋も」

大田さんは、洗おうとしていたお皿とスポンジを置いて、大きな溜息をついた。

「どこ行くんだ? さっきの電話の様子だと行くところ無いだろ?」
「…ビジネスホテル…に」

祐人がアパートに来ていた事を知っては、まだ暫くはアパートには帰れない。 由美の部屋に世話になろうとしたけど断られてしまった。

祐人は由美のアパートも知ってるし、由美が居ない間私を一人にしておくのは心配だからと、いま世話になってる人のところに、暫くは居たほうが良いと由美に言われたのだ。

「ビジネスホテルって…彼奴に居所が知れたら、ビジネスホテルだろうと乗り込んこんで来るぞ?」

確かにそうかも知れない。
危険を避ける為に通勤にタクシーを使っても
つけられたら居所もバレる。
ビジネスホテルなら容易く部屋まで入ってこられるだろう…

「もし、こないだの様な事が有れば、警察沙汰になる。そうなったらビジネスホテルにも迷惑が掛かる。警察沙汰になったホテルにどれだけの迷惑が掛かるか、そのくらいホテルマンのあんたなら分かるだろ?」
「・・・・」
「それに、何日もビジネスホテルに居て、いつまでも金続くのか?」
「・・・・」

確かにお金も続かないし、なによりホテルに迷惑を掛けることは避けたい。

「分かったら支度しろ?」




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