強引部長の独占ジェラシー
何から聞けばいいんだろう。いざ聞いてもいいと言われても上手く言葉が出て来ない。
すると、部長は遠くを見つめながら声のトーンを落として優し気に話し始めた。
「お前にはフられたところを見られていたな。だが実は俺はそもそも、彼女の事を好きでは無かったんだ」
まるで第一声から心を奪う、企業のキャッチコピーのように言う部長。動かそうとしていた箸が止まり、あの日の出来事を思い出す。
あの日、確かにフラれていたのは部長だった。
だけど、部長があの女性のことを好きでは無かったとなれば、フラれた原因は……浮気と考えるのが一番辻褄が合うだろう。
信じたくはない。
「浮気、ですか」
震える声で問いかけると、部長は静かに言った。
「いや。好きでは無かったが、付き合えば好きになるかと思ったんだ。
彼女から真剣交際を申し込まれてな、俺もこの年だ。そろそろそういう気持ちを持ってもいいと思ったんだが……」
そういう気持ちって言うのは結婚の事だろう。
彼女には持てなかったということだろうか。
疑問に思いながらも次の言葉を待っていると、彼は言う。
「川島、俺はな。今まで一度も人を愛しいと思ったことがないんだ」
ーードクン。
衝撃的なカミングアウトに声すら出なかった。
今まで……誰も、好きになったことがない。言い様の無い気持ちが私を支配する中、心が空くようななんだか切ない気持ちになった。
「恐らくこれがお前の言う俺の欠点だろうな」