強引部長の独占ジェラシー
「だから、私向井さんのこと尊敬してるんです。ずっと入社したらお会いしたいなって思ってたんですけど、聞いたら人事異動で移動になったって言われちゃって……」
こんな事、人に話したのは初めてだ。それも部長に話してしまうなんて。
恥ずかしくなって、自分のグラスに視線を移すと部長はやけに優しい声色で笑った。
「そうだな、向井は俺の直属の部下だったが……そんなことを言ったのか。向井は力が買われてグループ企業の方に異動になったんだ……」
視線を戻せば、わずかに赤い部長の顔がある。
どうしたんだろう?会社の事褒められて恥ずかしくなったりしたんだろうか。
そんなことを考えていると、部長のポケットがブルブルと震えた。
胸元に入れた携帯を取り出し画面を見ると、「すまん、電話だ」と言って席を立った。
仕事の電話かな?休んでもいいって言われてる時でも連絡が来ちゃうんだから大変だな……。
自分のことで精いっぱいの私はとても部長の立場で仕事することは出来ない。
しばらくの間、一人でお酒を飲んでいると。
二階からグラスを持って降りて来た人がいた。
かなり酔っぱらっているのか、声が大きく誰もいないのに独りで愉快に話している。
なんか嫌だな……。
そう思っていると、運悪くぱちりと目が合ってしまった。