強引部長の独占ジェラシー
「まぁいいわ。これで本当にさようなら」
しかし、一通り文句を言うと、すっきりしたのか彼女はふんっと鼻を鳴らして、こっちにやって来た。
コツコツとハイヒールを響かせて、私の方に向かってくる。
私と彼女がすれ違う時、ふわりと香水が香った。
それを辿るように振り返れば、彼女は先ほど口にしていた彼と合流してそのまま出口へと向かうところだった。
「川島」
私が名前を呼ばれたのは、その数秒後のことだ。
「また見られてしまったな」
部長は困ったように眉に皺を寄せて私を見ていた。その瞳には僅かな悲しみを纏いながら。
傷つかないわけがない。
ロボットじゃないのだから。
いくら完璧だって、何も感じない人じゃない。
「あの……!部長、私……っ」
でも、それでも何も言わないのが正解だった。
プライベートのことだから。部下が口出しするようなことじゃない。
そんなこと頭では十分わかっていたはずのに、私の言葉はそこで留まることはなかった。
「わ、私は……幸せです……!部長の部下でとても幸せです」
幸せに出来ない、という言葉をどうにか否定したくて、意味がまるで違う、でも同じ言葉を掛け合いに出す。
おかしな事を言ってるのは分かってる。
でも、それでも部長がそのままその言葉を受け入れてしまうことを避けたかった。