強引部長の独占ジェラシー
あの薄暗く、寒かった日。
間違いであればいいと、思うと同時、部長は口を開いた。
「久しぶりだな」
その砕けた口調を聞いて私の記憶は確信に変わる。
部長に話しかけた女性は部長の元カノだった。
なんてタイミングで……。
私はそこから離れることも出来ずに、ただ息を潜めて会話を聞いていた。
「今日は彼の紹介で来たの」
彼とは恐らく彼女の新しい相手のことだろう。
わざとらしく名前を出してそんなことを言う彼女を見ていると、なんだか今でも未練があるような気がした。
「新しい相手か?」
「そうよ」
「そうか、じゃあ彼が来る前に失礼しよう。お幸せにな」
「なによ、それ」
部長が歩き出そうとした時、彼女の低い声が落とされる。
部長の言葉が自分の望んだ言葉ではなかったのか、彼女はかっ、と顔を赤くして部長を引き止めた。
「あなたって情みたいなのはないわけ?呆れた。何にも変わってないのね……別れて正解だったわ。あなたと一緒にいても幸せになれないもの」
放たれた言葉はトゲを刺すような鋭いものだった。
自分を見てくれなかった嘆きと悲しみ。
彼女の気持ちも分からないことはない。だけど、それで部長にあたるのはお門違いだ。
だって、その手を放したのは彼女の方なんだから。