課長は私の憧れ
1章~出会い~

ここは都内にあるとある洋服店本社…

私の名前は、倉持愛空(くらもち あいら)25歳
この『トミーズ・ハイ』企画営業部で事務をしてもう3年になる。
『トミーズ・ハイ』とは、主に子供服を中心に、全国に店舗がある会社だ
近年では、親子でのペアルックにも力を入れており、私が入社した年の4月にはデザイン営業を中心とする企画営業部が設立された

そんな企画営業部事務に配属されてもう3年…
後輩も出来、部の事務員の中では当然のように古株へとなってしまった


『おはよー』

「あ、課長。おはようございます」

この人は我が企画営業部営業課の課長上條昌典(かみじょうまさのり)29歳
29歳という年ながら、昨年課長へと昇進を遂げた出世頭の1人である
そんな課長は今日もブランド品であろうスーツをピシッと着こなし高そうな腕時計を身につけている

『あ、倉持ー
悪いんだがこの伝票まとめて経理に回してくれないか?』

「わかりました。いつまでに…?」

『そうだなぁ 出来れば今日中にもらえると』

「了解です」

私は、課長から伝票を受け取ると自席へ戻り伝票整理を始めた

私の主な作業は、営業から受け取った伝票をまとめ経理へ回したり、備品の発注や管理などだ

しばらくすると机上の電話がなった
外線だ

「おまたせ致しました。トミーズ・ハイ企画営業部倉持がお伺い致します。」

その電話は、主要取り引き先であるベイモール販売部の田中さんから課長宛だった

私は内線1を押し、課長に電話をまわす
「課長、一番にベイモール田中さんからお電話です」
そう伝えると課長は軽く頷き受話器を取った

課長と田中さんの電話でのやり取りを聞きながら私は伝票整理を再開した

しばらくしてお昼休憩になったので私は財布を持ち社内の食堂へ向かった
すると途中で同期であり総務人事課の小中美幸に会った

『あれ、愛空
お昼一緒して良い?』

「もちろん良いよ」

私達はそれぞれ日替わりを頼み日が当たる窓際のスペースへと座った

『そーいえばさ、愛空に話があるの
今夜時間ある?』

今夜は特にないから、「あるよ」とだけ答えた

『じゃ、仕事終わったら下で待ってて』

「分かった」

何だろうか…美幸の話って

終業後私は言われた通り従業員入り口で待ってた
5分くらいしてから、美幸が来て私達は近所の小さな小料理屋へと入ってた

「話って?」

『実はね、私結婚することにしたの』

「え?本当に!おめでとう」

『ありがとうー。』

美幸には入社してからずっと付き合ってる彼氏がいる。かれこれ3年は付き合っていた
こないだ聞いた時は『結婚はまだかな』って言ってたから正直驚いた
美幸の相手は私達と同期であり私と同じ企画営業部営業課所属の佐伯涼真だ

『でね、涼真とも話したんだけど2次会の幹事上條課長と愛空に頼もうと思うんだけど…』

「え?私と課長が
でもなんで?」

『上條課長には色々お世話になってるし、何より学生時代学生会会長を経験したらしいの。
愛空は、私達よりも断然しっかりしてるから』

「私は構わないけど課長は忙しい人だから…」

『私も忙しいだろうからっては行ったんだけど涼真が聞いてみるって…
で、聞いたら引き受けてくれたみたいでさ
ね、どうにか頼めないかな?』

美幸はそう話すと顔の前でお願いと頼んできた

「分かった。良いよ!親友である美幸の為にも引き受けるよ」

『本当!ありがとう。
私達で出来ることがあれば言ってね』

「了解ー」

翌日出社すると課長にミーティングルームへ来るよう呼び出された

『佐伯と総務の小中が結婚することになったらしい。
で、俺と倉持に二次会の幹事をやって欲しいって話なんだか』

「はい。昨日小中さんから聞きました。
よろしくお願いします」

『あぁ。で、早速なんだが明日の夜、食事を取りながら4人で打ち合わせしたいんだが…
佐伯には許可貰ってるんだが、小中にはまだでさ。悪いんだけど小中に連絡した上でグループトークが出来るようやってくれるかな?』

「わかりました。」

私はそう言うと早速美幸にラインをした。
美幸からの返事は大丈夫とのことだから早速グループを作ることにした。
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